油桐炭

油桐炭

以前は各地で「油桐炭」が盛んに焼かれていました。

静岡が本場で、そのために「駿河炭」、「静岡炭」と言われていました。
油桐で作られた炭は、キメが細かく、研磨用の炭として需要がありました。
静岡で盛んに油桐炭が作られたのは、ピアノやレンズ、精密機械用の研磨炭が大量に必要だったのだと思います。

油桐栽培が行われていた地域では油桐炭も焼かれていたのだと思いますが、最後は北陸地方だけで油桐炭が残ったようです。しかし、現在、油桐炭は、福井県おおい町名田庄でしか製造していません。

北陸で生き残った原因はわかりませんが、漆器生産が多く、漆器の研磨炭としての需要が高かったものと思われます。特に人間国宝級の漆工芸家にとって油桐炭は必需品なようです。現在焼かれている油桐炭は、高級漆器用として使われています。

福井県での油桐炭

日本で油桐炭を焼いている木戸口さん。
日本でただ一人です。

研磨炭に一番適しているのは、80年以上たっている油桐炭ということです。
油を絞るための油桐の木は太くすることに力を入れましたが、そうした木は50年程度で倒木してしまいます。80年以上生き残る油桐は条件の悪い土地でゆっくりと育つために、それほど太くはなりません。成長が遅く年輪が詰まっているのが良い炭ができる油桐です。
現在では80年たった油桐の木はほとんど無いとのことです。あったとしても若狭湾一帯が国定公園なので伐採も難しい状況だそうです。

伐採した油桐は小さいもので4つに割ります。大きいもので6つに割ります。

そして積み上げて乾燥させていきます。
この油桐は、今年炭にするそうですが、この油桐の木は5年間乾燥させたものらしいです。

油桐炭専用窯です。
師匠(炭焼き人間国宝)の窯と全く同じ構造、寸法で作ったそうですが、同じ炭はできなかったそうです。
何回も改良を重ね、ようやく上質の研磨用炭ができあがったそうです。
5年間乾燥させた油桐を炭にしていきます。
炭焼きは冬というイメージがありますが、7月後半に火を入れるのだそうです。夏の暑い時期の方が炭の歩留まりが良い(縮まない)そうです。

この様に年輪の幅が狭いのが上等の研炭(漆仕上げ研磨用)です。
目が粗い炭は漆用ではなく、金属研磨用に使われるそうです。
良い油桐原木がないために漆研磨用の炭はなかなかできないようですし、しかも非常に高級になってしまいます。
しかし、漆職人の為にも価格は高くできません。非常に厳しい経営状況だそうです。

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